【新年初JAZZ〜Aya tune〜】KEYSTONE CLUB TOKYO

一台のフルオーケストラ、ピアノ。

一台の弦楽オーケストラ、チェロ。

 


その間に、森 綾さんは、ヘミングウェイの映画のキャラクターのように立っていた。

従軍看護婦のように、

それでも一言口を開けばいつもの軽妙な綾さんで、そのギャップに新年の驚きを覚える。

 


「気軽にランチでも召し上がるように、ね」とのお誘いの言葉通り、耳に馴染んだ肌触りの良いナンバー。

 


綾さんのJAZZはJ-JAZZだと、思っている。

どんなに洒落ていても、こちらを置いてけぼりにしない

どこかに温もりや親しみを残すノスタルジーは、

緊張しながらシートにいる誰かさんに、

 


ほら、飴ちゃんあげるから。

 


とくすぐりに来るような、優しさがある。

 


ハスキーなハイトーンが、伸びる。

 


綾さんの声に、コントラバスではなくチェロのベース音がよく似合うのは、

多分彼女の声にのる倍音と良く響くからなのだろう。

 


たった一台でパーカスまで網羅しながら、チェロが流れる川のようにオブリガードを謳う。

 


どこかに太陽の明るさを秘めたピアノの音が、風や空を届けるように、旋律を奏でる。

 


双方を従えるのではなく、

導くのでも、導かれるのでもなく、

綾さんは響きを与え合うように歌っていく。

 


圧巻は、「火の鳥」だった。

これを聞きに来たといっても過言ではない、

手塚治虫の不朽の名作が映画化されるにあたり作られた主題歌。

 


言葉を紡ぐ人から、言葉を紡ぐ人へ渡されたこの曲。

 


………

 


時々、厨房の音が聞こえるのだが、

何だかそれすら、暮らしの中に流れる音楽の一部のようで、綾さんのお茶目の一部になってしまっていた。

 


KEYSTONE CLUB TOKYOのピアノの音が気に入ったので、どこのピアノですか?と店の人に聞くと、

にっこり笑って、

 


オーナーがこだわってドイツで探してきたんですよ

 


ですって。

どこのかは、聞けませんでした。

 


秘密があるくらいが楽しいですね。

 


花正月

JAZZに合わせて

けんけんぱ

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