【中国緑茶の宴】茶塾にて ー①龍井茶のファンファーレー
龍井茶。
浙江省の銘茶にして、中国がその一番茶を熱狂のうちに待ち焦がれる、
中国緑茶の雄である。
フランスのボジョレーにも似た、市場登場日への人民の殺到は、
はるか昔から衰えることを知らない。
明るい緑の水色、甘み、旨み、そして何より、
冬の憂いを一掃する、鼻腔から天空までを駆け抜けるような
鮮烈な香りは人を魅了してやまない。
今回、茶塾で飲んだお茶の皮切り、「獅峯龍井茶」は、伝統的な製法を少しく違え、
品種改良を施さない茶葉を、その茶が醸し出す独自の香りを大切にしながら
整えられた茶葉。
伝統製法に比して、火入れの香りが和らいで、
ほのか花の香りをひそめたその味わいに、思わず天を仰ぐ。
通常の龍井茶は、春を呼び覚ますファンファーレ。
アイーダ・トランペットの輝かしい音色のお茶。
それに比して、今回の龍井茶は。
ほんの少し甘やかな、ソプラノ・コルネット。
空に舞い上がり、ふわりと降りてくるその音色は、
ただ、
きらめきに溢れて、輝かしい。
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吹奏楽部でほんの少し。
下手くそなトランペットを吹いていた。
その頃、楽器店のウインドウにあるピカピカのトランペットの前に、
何時間も佇んでいたことがある。
トランペットバカだった私の、
究極の憧れだったアイーダトランペット。
そして憧れてやまなかった先輩が、
隣で吹いていたコルネット。
この二つに例える龍井茶。
私がどれほどに愛しいと思ったか。
わかってくれる人は、きっと、数人はいるだろう。
。。。。。。
ちなみに。
刀剣に例えるなら、太刀一期一振。