My Pleaureの似合う、レストランで。

美味しいレストランはたくさんあるし、
感動を呼ぶレストランもそこそこあるだろう。

けれど、

互いに感謝して心を寄せ合えるレストランは、
そう、無い。

12月29日、大事なお友達と今年最後のランチをしに、
銀座一丁目に出かけた。

気がつくと、1月に1度のペースで交わりを重ねて、
心をほどける大事な関係を築いた友人たち。

今月初め、誕生日だった私のプチ祝いと、
今年一年の荷卸しと、Kさんが選んでくださったお店は

イタリアン、S。

15品、お皿にして20dish以上を、ゆっくりゆっくり
1回転の客にたいして味わわせてくれるとのこと。

埼京線はうらうらと、
左にダウン、右にファー。
仕事納めて日本晴れ、
はるかにのぞむ、やまなみに、
行く年来る年思いつつ、
気がつきゃ電車は海近く、
・・・
海？

おい。
乗り換えは池、池袋だっつの。海じゃねっての。

湘南新宿ライン、あなどりがたし。

と、あわてて引き返して15分遅れ。

こんにちは

と店に入ると、そこは、清潔で暖かく、
ふところ深く招き入れられるような
案内に導かれて落ち着いたのが、それはすわり心地の良い椅子。
まるで留守にしたその家の主人が家の執事に、
大事なお客がくるから、もてなしてやってくれたまえね。
と言いおいたかのような、親しみに満ちた空間。

次第にメンバーがそろい、食事が始まる。

それはそれは、客にたいして優しく、謙遜な懐石の心と、
食を味わい人と交わろうという、陽気なイタリアンの心の融合。

一品一品のあしらいまでもが、これでなくてはならないという、
ディティールに驚く。



うれしいね、楽しいね。

飲み物は完全にフリー。

驚いたのは石川小芋の一品。

金沢のあの、ころころと愛らしい石川早稲小芋が、
まるであぶり餅のような佇まいで登場。

一口でほおばると、目の前にはやぶさが飛んだ。

初めてたべた、美味しい！

この境地は、９９％の美味しいと、１％の新奇が必要と思う。
このバランスが崩れると、
「次回なら美味しいかも」という腕自慢に終わるか、
「ああ、あの料理に似ているな、美味しい」という感心に終わる。

ねっとりと練絹のような小芋に、フォアグラのペーストと
アクセントにした初めて見る木の実。

客を脅かさない、威嚇しない、そして美味しい驚きをさりげなく
供するその謙遜に、脱帽した。

気がつくとカトラリーも全て小さく軽く、お皿に出て来るものは
みな食べられるもの、、、お皿には何も残らない仕立て。



ゆっくりゆっくり、それぞれの一年を振り返りながら、
たわいなく語らいながら、フィナーレに。

デザートのワゴンサービスで、
どれになさいますか？
の質問に、全員が全部と答える健啖さ。来年も元気元気。

何品ものケーキがサーブされたその後に、

どうぞ。

と、小さく囁く声とともにおかれた小さなお皿の上には、

Happy　Birthdayの文字が躍る、ホワイトチョコのプレート。

Ｋさん、ＫＨさんを見ると、二人とも驚きの顔。
そう、お店には特に誕生日のお祝いなどと伝えていなかったらしく、
私たちの会話から、紐解いてこのようなサプライズをくれたという。

しかも、臨席の華やかなお祝いを邪魔しないように、
ささやかに、静かにしつらえてくれたのだ。

ありがとうございます、とても嬉しいです、

とこたえると、

こんなことで宜しければ、喜んで。

と。

こう、ありたいね。
本当に、こうありたいね。

と、3人で話し合い、来年また会おうねと、
こんな人たちと会いたいねと、
交わり続けていった午後。

3時間を越える長いの末、お店を名残惜しくも立ち去るとき。

レシートには、再び。

Happy　Birthday。

ありがとう、必ず又来ます。
こんなに感謝に満たされたレストランは初めてでした。
こころから感謝します。

と、伝えると、

何よりのお言葉です。
喜んで、お待ちしております。


「My Pleaure」

って、本当にすてきだ。