昼ご飯 いさめば花咲く 櫻茶家
昼ご飯日記を飽きもせず書いていた時期があった。
GREEがまだゲーム主体になる前のこと。
それがきっかけで知り合った方がいたり、それがきっかけで書くことが楽しくなったり。
そんな時期があった。
そういえば最近、昼ご飯日記を書いていないなあ、と思ったのは、この店に出会ってからのこと。
ちょっと寂しいあきらめを感じ、いらぬことは控えようと書くのをやめていたからだった。
ところが。
この店を慕う思いがつのりにつのり、オノレの中だけに収めきれなくなってきまして。
ついに昨晩は、店主宰の納涼会で、この店の一皿にこめられた精神性をひとしきり酒席でぶち上げるという暴挙に出てしまったので、
ここで圧力抜きをして、リアル世間様への迷惑をかけないようにしようと思いついたのが、今日のエントリーのきっかけ。
(ちなみにその一皿は、ランチに供された冬瓜の含め煮、銀あん掛け。これに関しては別途エントリさせてもらって、と。)
名を、「櫻茶家」。
東京を、西に下って八王子、
北口おい出て 川方面、
ずずいずいずい まっすぐに、
甲州街道通り越し、
一つ目角を 弓手へと、
曲がり 数件通り越し、
右手にはためく櫻ののれん、
そこが我らが櫻茶家。
ああ、こりゃこりゃ。
ランチタイムのメニューは5~7種。
定番の鶏の唐揚げ、サバの塩焼き御膳。
日替わりで肉系1~2種、魚系1~2種。
この唐揚げは私見ながら八王子、多分東京でも屈指の唐揚げで、
(吉祥寺やぐやの鶏の南蛮揚げと、私の中では並び立つ東京のうまいもん。)
肉に関しては豚肉が出色。
特に、もち蓋を、板のノブさんがエイジングさせて誂える熟成もち豚の豚カツは、
豚カツの地平を新たに開く、香味と美味と歯触りとで、
限定のせいもありいただくために静かなバトルが繰り広げられている一品。
魚については語るも惜しい。
築地をひょいと通り過ぎ、
仕入れる先は 新島の、
網も乾かぬそのうちに、
どどんと届く 海人の、
心と、海の 豊穣さ。
はあ、こりゃこりゃ。
新島の漁師さんから直で届く魚たちの美味さたるや、
昼にこんな贅沢していいのかと、食べているうちから頬が緩む。
この2週間で口にした魚といえば
さば、ツムブリ、シイラ、トビウオ、いさき、たかべ、あと、何だっけ。
刺身、塩焼き、フライにバタ焼き、タタキに幽庵焼きに煮付けにカツに。
たかべの煮付けにいたっては、THEとの定冠詞をつけるべき、これぞ煮魚という仕上がりで、
あたしゃ、縁側の骨をシャブり頭骨を粉々にして眉間とほほとえらの裏の肉と、
目ん玉を舐め尽くして煮汁までご飯にかけるという、カウンターの端っこだから許される所業にでてしまいましたわ。
全て手作りの気の利いた小鉢も量感たっぷりに、店で仕込んだ水もしたたる漬け物に、
これら全てをたった一人のノブさんが、いっさいの焼き冷ましもバクも煮置きもなく時間内に捌ききる。
料理のみではない。
お店の幸さんの心映えと仕上げが、客へのもてなしとはいかなるものか。
言葉にせずともその姿が雄弁に物語る。
こんな店を、だれが黙っていられようか。
というわけで、今後はときどき、思いのたけを吐露させていただきまする。