日曜日の出会いと幸せ、前半戦。

10月29日、私の一週間分のコミュニケーション賄うような日曜日となりました。

その前半。

礼拝後、父と吉祥寺・パリジェンヌで恒例の月1回ランチに行きました。

グラスに控えめな分量でお店からワインのサービスがありまして、
私には丁度よいのですが、いける口の方には物足りないこの量が、
2杯目を誘うという、まあ、なんと言うか。戦略というか。


前菜に普段より野菜が多くなっていました。
栃木、長野、島根、山梨の農家から、小さかろうが形が悪かろうが、
一切合財を引き受けるという形で、格安で仕入れをすることになったそう。

「あの、実は、取れ立て長野、というトコロガあるので紹介したいのですが」
というと、今はいっぱいいっぱいで首が回らない、と、増井シェフ。
残念。
でもめげずに進め続けてみようと思います。ね、arapiさん。


二皿目の前菜は父:スモモのスープ、私が秋鮭と大根のコンフィ。
魚は、黄精ソースのポアレ、お魚はヤガラ。黄精とは、薬膳の材料でナルコユリの根っこ。
ほろ苦い、深みのある、体によさそうででも押し付けがましくない風味。
お肉は、父がたぶんチキンのディアプロ風、私はもーもーちゃんのベロでした。

お肉の写真はもうとるユトリもうせましたwあまりに美味くて。



13時に伺うと、丁度団体さんが一気にはけたとかで、
お店は貸切状態となっており、
まあ贅沢というか、なんというか。


デザートはクリーム・ブリュレ。

そして、恒例の、増井シェフとマダムと、私と父とのおしゃべりタイム。


その中で、被災地への炊き出しについてお話を伺いました。


洞爺湖サミットで料理の総指揮を担った中村シェフ、その方を中心にしたゴブラン会というトップシェフの
会があります。
そのゴブラン会、被災地へ20名からなる編成で赴き、炊き出しを行っているとのことでした。


メニューは馴染みやすい、ワンディッシュの物ながら、本格的なフレンチです。


キャロットスープ。
ヒレのステーキ。
付け合せのポテト、グリンピース。
デザートの焼き菓子。
そして、パン。


キャロットスープは、提携している農家からの人参を使用。
ヒレは和牛。鴨かと見まごう程の薔薇色の焼き上がり。
ポテトは、まず丸揚げにして、牛のブイヨンで煮て、
グリンピースはたまねぎとプティ・ポワ・パリジェンヌに。
焼き菓子は滋味深く、
パンは避難所で食べる方の分はフランスパンで、
お持ち帰りになる方のものは、スライスしておくと固くなるということでハーブ入りのプチパンに。


こんな時です。
美味しいものがどんなにか励ましを与えるか。
その威力を骨の髄まで知り尽くした料理の達人達。



あえてハレのフレンチを、届けたのはそのようなわけです。


避難所には手書きで日々の時間割が張り出されているのですが、
この日の昼食の欄には、大きく
「ゴブラン会!」と書かれていました。


生まれて初めてフレンチを召し上がる方もいらっしゃいます。
やはり牛が皆さん抵抗が少ないそうです。


写真を見ると、立ち並ぶ白いコックコートと、そびえる20のトック・ブランシェ。

「僕らはフランス料理の誇りを持って、このトック・ブランシェをかぶるんですよ。
どんな時でもお客様への敬意を、そう思うんです。被災地でもそれは変わらないよね。」


その気概や、よし。

「でね、実は、この帽子が役に立ったんですよ。」

と増井シェフ。



ゴブラン会のWEB,写真を引き受ける増井シェフ。
仕事の合間にカメラを子供達に向けるときには丈高い帽子は邪魔ですから、いったん脱ぎます。
すると子供達が待ってました、と、「コックさんの帽子」をみんなで回し被りして、わいわいとちょっとした騒ぎに。


「ボクの手元に戻ってきたときはヨレヨレになってました。」


と、何だか嬉しそうなんですよね。


最後にぱちりととったらしい記念写真。


その中に、ちょっとラテンっぽい優男が1名。
この人だけはコックさんの姿ではありません。
この人は?と伺うと、なんでも、日本に2人しかいない、
ほろほろ鳥を専門に扱っている方の一人で、
ゴブラン会の炊き出しの話を聞きつけ、地元から8時間かけて単身車で
やってきた方だそう。


吉祥寺にあるスペイン料理のドスガトスのシェフも参加を強く望まれたそうですが、
店を任せられる方が丁度不在で涙を飲んだということでした。


おいしい食べ物を、
安心して食べられるように。


料理に携わる方の願いが、祈りが、ほとばしる様に伝わってきました。


そんな日が早く来るように。


最後に4人で祈って5時に解散いたしました。
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