東京の宮殿で冠を頂く。〜美酒“蘭”会ランチ、表版〜

パレスホテル東京、「CROWN」。

美酒蘭(乱ではない。繰り返すが乱ではない)の会という名目で、ランチの交わりを持つ友人達と、
今回伺うことになったのはこちら。

うち2名、良店をひとたび聞けば、どどんぱぱんとスターマインの如く、
綺羅星のような場所場所を怒濤のように教えてくれる人達がおりまして。
今回賜った候補のリスト、さすがというかなんというか、予約できたのは1店のみ。

で、「そもそも無理だと思うけれども、ここのメインダイニングがステキなので」との前置きがあったCROWNに、
そもそも無理なんだよね、うん、うん。とお電話すると、

「ありがとうございます、用意いたします」
「ええ、無理ですよn・・・・え?ダイジョブ?」
「はい、よろこんで承ります。」
「でも、あの、メインダイニングは」
「もちろん、お席の用意がございます(にっこり)」

幸せの青い鳥はすぐ近くをバッサバッサと飛んでいるのだった。

「どなたかの記念日でしょうか?デザートにお好きなメッセージを添えられますが」

「ええと、お一人はお子様を無事に育て上げて、お一人は地獄のような研修を遣り果せ、

お一人は新たなお仕事を続けておられて・・・お祝いのキモチではあるのですけれども、

でも、誕生日や結婚記念日などではないのです。

それらをみなおめでとう、ということなのですが…」

だからメッセージは無理だと思う、と言おうとしたら、

「左様でございますか。それではどのようなメッセージにいたしましょう?」

何と、粋な。

「あ、では・・・」



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やがて会当日。

ロビーからエレベーター、そして扉が開くと。

・・・ココハダレワタシハドコ。

小さな、窓もトビラも無い部屋に到着。


えーと?

2回後ろを振り返る。

????

とりあえず一歩前へ出ると、


うひゃほうっ。


するすると壁に同化していた自動扉が開く。

…こちらのホテルでは、たとえ客が目をつぶっていても目当ての場所に導かれる、
しかもノンストレスで。

ただ、ただ、重荷を預ければそれで良い。
それをこれから体感することになる。

フロアは広すぎもなく狭すぎも泣く、丁度、人一人が把握できるほどの空間で、
窓から見える皇居を中心とした、都心の滴らんばかりの緑が全て、わたしの、友の、客のものとなる。
高層階にあるわけではない。だからこそ、つい、と手が届くような景色は、モダンな箱庭のよう。

ここから、優しい時間が始まった。

料理の味のうんちゃらかんちゃらとか、とあるシェフに伺った、ピラミッドが吉兆湯木さんとどーたらこーらたのネタは、
どっかで別枠でやるとして。で、この別枠すでに用意しているのだが、まあ、それはそれとして。
はい。もう、昇天してもよいほどのお味でした。
アミューズのさらにアミューズが…(以下自重。)

気がつくと健康談義が満開に。

いやー女子会だったはずなんだけどねー、こういうことになっていくのねー、歴史を重ねると。

と、かんらかんらと笑い飛ばしながら。

一人一人、道があって、
背負う試練があって、喜びがあって、
心配しあったりもして、でも不安ではなかったりして、
甘えたりもして、ドヤされたりもして。

これからも、できれば朗らかに、できなくても朗らかに、

歩んで行きたい、そんな仲間達との交わりに時間は流れて行く。


働いて手にしたお金で、分不相応であろう店に行き、
そこで、その一流の方々が遇してくださるサービスを受け、思うのだ。

この方々のサービスを受けるに値する生き方が、できていただろうか、と。

まだまだだ、と思うようなこんな者を、尚もてなして下さる方々に、感謝を敬意を対価とともにお渡しする。

そんなことが出来るようになったことが、こんなにもありがたい。

やがてデザートタイムに。

あの時お願いした言葉が、一言一句過たずに、綺麗に4プレートそれぞれに踊っていた。


「素敵な言葉だと、パティシェも申しておりました。」

と、にこり。


それは、不思議の国のアリスの中の、一節。




ふる



なん