日曜の小さな奇跡。〜パリジェンヌとトークバック〜
物語は、終わると同時に始まる。
吉祥寺パリジェンヌを閉じた夫妻は、私と同じ、いや大先輩のクリスチャンで、
今は日曜礼拝に顔を出せるようになり、毎週父共々ご挨拶を交わしていた。
先月には、とある練馬の雛には稀な、ご夫妻掌中の珠のような店で、ランチを共にさせていただいた。
そして、少しの時が立ち。
ご夫妻は新たな地を得られた。
千葉は八千代に、6月からその腕をふるう場に、
どうかと請われて行くことになった。
もう、そう簡単には逢えまい。
父は少しばかり老い、フットワークがやや重くなったから、
ふと共に行くことは、そう出来なくなるだろう。
そして、昨日、旅立ちのランチを共にすることになった。
吉祥寺ドスガトス。ご夫妻のご友人の店に向かうと、
偶々予約で貸し切りとあった。
そこから移動して吉祥寺トークバックへと先導される。
以前2回連続で振られて、今度お越しになったときはガーリックトーストを出しますからね、と、ばかりに、お世話になっていたことをふと思い出していると、
「ここのシェフはパリジェンヌで働いていたんですよ」
と。
は?!
トークバックのシェフが、私とご夫妻を交互に見る。
そして、
にこり、と。
一笑破顔ののち、
「そうでしたか!」と。
「さあ、どうぞ」と。
店中の店員に挨拶をされながら、卓へと進んだ。
神様は、幾重にも幾重にも、私たちを慈しんでいる。
その旅が孤独なものにならぬよう、何度でも何度でも、
小さなミラクルを下さる。
その帰り道、久しぶりに父と穏やかに話をした。
ありがとう、
空に向かっても言おう、何度でも。
ありがとう、と。
<パリジェンヌ>
<トークバック>
<パリジェンヌ>
<トークバック>