気の流れ、水の流れ〜茶禅草堂〜
【気の流れ、水の流れ〜茶禅草堂〜】
中国茶の稽古を、戸越の茶禅草堂にて。
茶葉は『正山小種』、別名をラプサンスーチョン。
世界の紅茶の原点である中国紅茶が、今日の題だった。
たゆたう印象的な燻煙香、
一方で、優しく続く甘みと旨み。
この対比がエキゾチックな魅力を醸し出すもので、
テイスティングから茶の性質を読み取り、
己のめざす味わいに近寄るよう合わせる茶器を選ぶ。
臍下丹田に意識をのせて息を整え、茶禅の点前を行う。
…………
この日、私は出がけに母と諍いを起こしていた。
気の流れが乱れれば、水の、湯の流れが乱れる。
水の流れが乱れれば、時、タイミングが乱れる。
そうして、ひどく不器用に入ったお茶は、一煎目の味わいが、完全には二煎、三煎とは継がれないもので。
ナオコ先生にも、一緒にお稽古をしている方にも、何より入ったお茶にも。
何も隠せないものだなあと、息をついた。
日々、様々に喜怒哀楽はある。
時々に、事象は起る。
常に平常心でいることは難しいし、また、その必要もないだろう。
心の動きは、感性の苗代でもあろうから。
ただ、その喜怒哀楽がありて尚、
そのゆらぎと動揺を受け止め、
波を鎮め、たとえ鎮められなくとも、
喜怒哀楽をほんの少しでも超えることを求めるならば。
その果てに、茶は、天よりの一滴に迫るものとなる、
…のかもしれない。